オーディオ機器やギターアンプ、DTM環境の音に、なんとなく“音のざらつき”やノイジーさを感じていました。
・どこか曇っている感じがする
・もっとクリアな音にしたい
・ノイズが気になる
音楽好きならこういった悩みを持っている人は多いと思います。
オーディオもギターもやるので、音のクリア感やノイズにはずっと悩まされていました。
いろいろ調べるうちに「アイソレーショントランスが効果的らしい」と知り、導入を検討し始めました。
ただ、詳しく調べてみると同じアイソレーショントランスでも種類や性能に違いがあることがわかりました。
買ってから「思っていたのと違った…」という失敗は避けたいので、購入前に色々調べて悩んで、複数のメーカーを比較検討しました。
最終的に選んだのは、電研精機 ノイズカットトランスのNCT-Iです。
この記事では、私が比較検討した4つのアイソレーショントランスと、なぜ電研精機を選んだのか、その理由を詳しくまとめています。
この記事がアイソレーショントランス選びのヒントになればうれしいです。
電研精機のレビューは以下の記事で詳しく紹介しています。
4製品のスペック一覧比較表
まずは比較検討した4つの製品を一覧表で紹介します。
| 電研精機 | プロケーブル | ゼネラルトランス | ユニオン電機 | |
|---|---|---|---|---|
| 型番 | NCT-Iシリーズ | ギタリスト電源 | PMC-540EZ2 | MNR-D |
| 容量(VA) | 505~1400 | 600~1500 | 540~1000 | 100-1500 |
| 重量(kg) | 8.5~23 | 9~25 | 10.5~21 | 3.8~16.5 |
| サイズ(mm)※ | W138xD180xH115 | H178×W160×D213 | W118xD205xH140 | W125xD225xH150 |
| 参考価格(万円) | 4.8~8.3 | 4.8~8 | 4.3~7.7 | 要見積 |
| 特徴 | ノイズカット | 静電シールド | 磁気シールド | ノイズゼロ |
※サイズ・重量は各メーカーの500〜600VA前後のモデルを参考にしています。
電研精機 ノイズカットトランス NCT-I
最終最終的に電研精機 ノイズカットトランスを購入しました。対処できるノイズの種類が最も多く、コストパフォーマンスにも優れています。
・幅広いノイズに対処したい
・コンパクトで設置しやすいサイズが良い
・コストパフォーマンス重視
電研精機のノイズカットトランスは、対処できるノイズの種類が最も多いのが特徴です。
一般的なアイソレーショントランスは主にコモンモードノイズへの対策がメインですが、電研精機はノーマルモードノイズにも対処できます(詳細はこちら)。
価格も5万円~と手頃で、サイズもコンパクトです。
・対処できるノイズの種類が最も多い
・価格が手頃でコストパフォーマンスが高い
・軽くてコンパクトで設置しやすい
・技術的な情報がしっかり公開されている
・ネット上のレビューも高評価
他の製品はHPを見ても「アイソレーショントランス(絶縁トランス)」としか書かれておらず、ノーマルモードノイズに強いのか不明でした。
ユニオン電機は4重シールド構造とあるので近い構造かもしれませんが、詳細がわからなかったので見送りました。
実際に5年間使ってきて、音痩せなどの弊害を感じたことは一度もありません。音のクリア感とエネルギー感が明らかに向上しました。
電研精機のノイズカットトランスは種類が沢山あります。選び方について記事を書いています。
電研精機のノイズカットトランスはオーディオ用ならNCT-Iシリーズがおすすめ!
プロケーブル アイソレーショントランス STH-1510A ギタリスト電源
プロケーブル アイソレーション電源トランスは、オーディオや楽器をやる人の間ではかなり有名なメーカーです。特に「ギタリスト電源」と呼ばれる製品で知られています。
プロケーブルは容量や入力電圧によって複数の製品があるのが特徴です。
使用する機器の消費電力や、100V/200V環境に応じて最適なモデルを選べます。
プロケーブルの主要なアイソレーション電源トランス(静電シールド付き)一覧です。
| ギタリスト電源 | STH-1010A | STH-1510A | STH-1520A | |
|---|---|---|---|---|
| 容量(VA) | 600 | 1000 | 1500 | 1500 |
| 入力電圧(V) | 100V | 100V | 100V | 200V |
| 出力電圧(V) | 100V*2口 115V*2口 | 100V*4口 115V*2口 | 100V*4口 115V*2口 | 100V*4口 115V*2口 |
| サイズ(cm) | H18×W16×D21 | H24.7×W18×D26.4 | H27×W20×D34 | H27×W20×D34 |
| 重量(kg) | 9 | 14 | 25 | 25 |
| 特徴 | ベルデンシールド電源ケーブル仕様も有り | 中容量モデル | 100V大容量モデル | ・200V対応 ・コンセント交換必要 |
私が検討したのは1500Wモデルでしたが、容量が大きいモデルほど余裕のある電源供給が可能です。
ただし、容量が大きくなるほど重量も増え、価格も高くなります。
・海外製の115Vアンプを使用している
・プロ仕様の性能を求めている
・設置スペースに余裕がある
・予算に余裕がある
プロケーブル ダウン&アイソレーション・電源トランスは、200V→100V&115V出力に対応しており、スタジオやプロも使用する確かな性能があります。
しかも100V出力は50V-50Vのバランス出力、115Vは57.5V-57.5Vのバランス出力です。
(普通のコンセントは100V-0V)
当時、私もアメリカ製115V仕様のギターアンプを持っていたので、115V対応は魅力的でした。
・200V仕様は重量25kg、サイズも大きめで設置場所が確保できなかった
・予算オーバーだった
・「うなり音」や「においがする」というレビューが気になった
・200V仕様は壁コンセントの交換や電源プラグの変更が必要
200V仕様はコンセントプラグの形状が一般的なものと異なっています。
左が一般的な200Vのコンセントです。プロケーブルは右側のL6-15規格のプラグを採用しています。
そのため壁コンセントを右の物に交換するか、電源ケーブルのプラグを左のものに交換する必要があります。
壁コンセントを交換するには電気工事士の資格が必要です。

サイズ、重量、プラグ形状の問題がクリアできて、予算にも余裕があるならこの製品は十分「あり」だと思います。性能面では信頼できる製品です。
スタジオやプロも使用しているので、性能的には良いのは間違いないです。
ゼネラルトランス アイソレーショントランス PMC-540EZ2
ゼネラルトランス(旧ノグチ)は、オーディオや楽器をする人の界隈でよく見かける定番製品です。
価格も手頃でレビューも多く、初めてアイソレーショントランスを導入する方にも人気があります。
・とにかく安く買いたい
・まずはアイソレーショントランスを試してみたい
・多くのレビューを参考にしたい
・軽量でコンパクトなものがほしい
価格が4.2万円と安く、重量10.5kgと比較的軽量で、ネット上のレビューも多く音質的にも評価が高いです。
正直、かなり有力候補でした。価格、サイズ、重量のバランスが良く、コストパフォーマンスは抜群です。
・メーカーのHPに製品性能について詳しい説明がない
・磁気シールド付きとは書いていたが詳細構造がわからない
・対処できるノイズの種類がわからず、決め手にかけた
もしメーカー側がもっと技術的な情報を公開していたら、購入していたかもしれません。
磁気シールド付きと書いてあったので、一般的なアイソレーショントランスよりはノイズに強そうです。
「とりあえずアイソレーショントランスを試してみたい」「予算を抑えたい」という方には、レビューも多く安心できるトランスです。
ユニオン電機 ノイズゼロトランス MNR-D
ユニオン電機の「ノイズゼロトランス」は、特注専門で細かい仕様変更にも対応してくれるのが特徴です。
自分だけのカスタマイズされたトランスが欲しい方には魅力的な選択肢です。
・細かい仕様にこだわってカスタマイズしたい
・納期をゆっくり待てる
・見積もりを取るのが面倒でない
ユニオン電機の「ノイズゼロトランス」という製品名からして、性能に期待が持てました。
4重シールド構造で優れたノイズ減衰特性があり、オーディオ用途として製品ページに明記されています。
特注専門で仕様変更にも対応してくれるので、細部までこだわりたい方には魅力的です。
サイズや重量もちょうど良い(500VA で8.0kg、W125×D225×H150mm)です。
・納期が10-15日もかかる
・価格を知るには見積もりを取る必要がある
・ネット上のレビューが少ない
特に「レビューが少ない」点が一番気になりました。実際に使っている人の感想が聞けないと、音のイメージがつかみにくかったです。
レビューがもっとあれば、購入していたかもしれません。ヤフオクで検索してもかなり数が少なかったので流通が少ないようです。
「自分だけのカスタマイズされたトランスが欲しい」「細部までこだわりたい」という方には良い選択肢だと思います。
ヤフオクで検索してもかなり数が少なかったです。見積もりを取るまで価格がわからないのもマイナスポイントでした。
比較のポイント|選ぶときに重視したこと
アイソレーショントランスを選ぶときに重視したポイントは以下の5つです。
1.対処できるノイズの種類
一番重要なのはどんなノイズに対処できるかです。
一般的なアイソレーショントランスはコモンモードノイズへの対策がメインですが、ノーマルモードノイズにも対処できるものを選びたかったので、ノイズカットトランスを最優先にしました。
2.容量
使用する機器の消費電力に応じて、適切な容量のトランスを選ぶ必要があります。
目安としては、接続する機器の消費電力(W)の1.5〜2倍程度の容量(VA)を選ぶと安心です。
例えば、合計300Wの機器なら、450〜600VA程度のトランスを選びましょう。
3.サイズと重量
オーディオラックの裏に設置することを考えると、あまり大きすぎたり重すぎたりすると設置が大変です。
重たい機器は移動が大変なので最近は避けるようにしており、重量は10kg以下、ラック裏におさまる200mm以下を目安に探しました。
4.レビューや実績
実際に使っている人の声は非常に参考になります。ネット上のレビュー、ブログ、ヤフオクでの流通量などもチェックしました。
5.メーカーの情報公開度
製品の技術的な情報がどれだけ公開されているかも重要です。
特に対処できるノイズの種類、トランスの構造、シールド方式などが明記されているものを優先しました。
アイソレーショントランスの種類とノイズ対策の違い
ここからは少し技術的な話になりますが、アイソレーショントランスには大きく分けて3つの種類があり、それぞれ対処できるノイズが異なります。
トランスの種類別ノイズ対策比較表
次の表はトランスの種類ごとに対応できるノイズの一覧表です。
参考資料:ノイズカットトランスとは2Pの下にある表(三和電機株式会社HPより)
| トランスの種類 | 構造 | コモン モード | ノーマル モード | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 高調波 | 低帯域 ノイズ | 高帯域 ノイズ | 高調波 | 低帯域 ノイズ | 高帯域 ノイズ | ||
| ①絶縁トランス (一般的なアイソレーション トランス) | ![]() | ○ | △ | ✕ | ✕ | ✕ | ✕ |
| ②シールドトランス | ![]() | ○ | ○ | △ | ✕ | ✕ | ✕ |
| ③ノイズ遮蔽トランス (ノイズカットトランス) | ![]() | ○ | ○ | ○ | ✕ | ○ | ○ |
①絶縁トランスが最も一般的なアイソレーショントランスですが、ノーマルモードノイズには対処できません。
②シールドトランスは①に遮蔽構造を追加したもので、コモンモードノイズへの対策が強化されています。
③ノイズカットトランスは最も対策範囲が広く、高調波ノーマルモード以外のほぼすべてのノイズに対処できます。
①→②→③の順に対処できるノイズの種類が増えます。トランスの構造を見ると①→②→③の順に遮蔽構造が増えています。
ノーマルモードノイズとコモンモードノイズの違い
ノーマルモードノイズ:
電源のプラス側からマイナス側を通ってノイズ源まで戻る、電源ライン間を流れるノイズです。

コモンモードノイズ:
電源のプラス側とマイナス側で同位相で流れ、大地を通ってノイズ源まで戻るノイズです。

一般的なアイソレーショントランス(絶縁トランス)は、主にコモンモードノイズへの対策がメインです。
より幅広いノイズ対策を求めるなら、ノイズカットトランスやシールドトランスを選ぶ必要
まとめ|電研精機ノイズカットトランスを選んだ理由
いろいろと比較検討した結果、最終的に電研精機 ノイズカットトランスNCT-Iを選びました。
・対処できるノイズの種類が最も多い
・価格が手頃で、コストパフォーマンスが高い
・コンパクトで設置しやすい
・技術的な情報がしっかり公開されている
実際に5年以上使ってきて、音のクリア感とエネルギー感が大幅に向上しました。
ノイズも明らかに減少し、ギターアンプから出る音やオーディオの音質改善につながりました。
もちろん、使用環境や予算、求める性能によって最適な製品は変わります。
この記事がアイソレーショントランス選びの参考になればうれしいです。






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