コストをあまりかけずに音質アップしたいと考えていませんか?オーディオ用の電源タップやクリーン電源は試したいけど価格が高すぎて手が出せない。オーディオ製品は年々インフレが進んでおり、簡単に購入しにくくなっています。
私は防音室をつくったのですが、電源環境にはこだわりました。電源環境を変えただけでかなり音質アップしました。特に効果的だったこと3選です。
・200V
・ノイズカットトランスの導入|電研精機
最初の2つは電気工事が必要になりますが、数万程度の簡単な工事でやってもらえます。
この記事では専用回路、200Vだとなぜ音がよくなるのかについて解説しています。ノイズアナライザーを使ってノイズがどれくらい減ったのかも検証します。
電源は機材を動かすための土台です。土台となる電源が悪いと機材が本領発揮できません。電源でノイズを減らせると、ノイズに埋もれていた小さな音までよく聞こえるようになり解像度がアップします。またS/Nがよくなることで音楽が際立って聞こえます。この曲にこんな音が入っていたのか!といった新たな発見ができ、色々な曲をもう一度聞き直しました。
この記事を読めばなぜ電源環境が重要かわかります。
専用回路と200Vで音質アップ!
専用回路
専用回路はブレーカーからコンセントまで他の機器につながっていない回路です(下図)。
普通の壁コンセントは照明や他のコンセントと裏でつながっています。そのため他のコンセントや照明経由でノイズが流れ込みます。専用回路にすることで他の機器からのノイズの流入を防ぐことができます。エアコンは一般的に専用回路になっています。
専用回路はプロのスタジオでは当たり前のように使われています。パソコンなどの電子機器が発するノイズを音響機器に伝えないためです。PC+USB-DACは流行りの構成ですが、PCとDACは別のコンセントから取るほうが良いです。私は音響機器をつなぐコンセントはすべて専用回路にしています。専用回路は電気工事業者にお願いすると増設してもらえます。
つい新しい機材を買うことに目が行きがちですが、土台となる電源はまず初めに整えるべきポイントです。 何十万もする機材を買うよりもまず土台に投資したほうが高コスパです。
専用回路についてはこちらの記事で詳しく解説します。
電源を200Vにする
これはかなり効果がありました。今回紹介する3つの中で一番効果を実感しました。次で紹介するノイズカットトランスと併用するのが一番効果的です。
200Vはバランス(平衡)伝送されているためノイズに強い性質があります。簡単に図解したものを示します。
最終的にノイズは打ち消される方式になっています。エアコンで200Vが来ている場合はそちらを利用できますが、エアコンが使えなくなってしまいます。200Vは分電盤まで来ているのでオーディオ機器のある部屋まで引っ張るだけです。これには電気工事の資格が必要になるので専門業者にお願いしましょう。
200Vについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
ノイズカットトランスの導入|電研精機
200Vと電研精機のノイズカットトランスの組み合わせが一番効果がありました。200Vのコンセントが部屋にありながら1年以上放置していたのを後悔しました。ノイズカットトランスは電研精機の商標でオリジナル商品です。
ノイズカットトランスはアイソレーショントランスの一種です。名前の通り電源からくるノイズをカットしてくれます。アイソレーショントランスは主に3種類あり、一般的なのは①の絶縁トランスです。カットできるノイズの種類はノイズカットトランスが一番多いです。
トランスの種類 | 構造 | コモン モード | ノーマル モード | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
高調波 | 低帯域 ノイズ | 高帯域 ノイズ | 高調波 | 低帯域 ノイズ | 高帯域 ノイズ | ||
①絶縁トランス (一般的なアイソレーション トランス) | ○ | △ | ✕ | ✕ | ✕ | ✕ | |
②シールドトランス | ○ | ○ | △ | ✕ | ✕ | ✕ | |
③ノイズ遮蔽トランス (ノイズカットトランス) | ○ | ○ | ○ | ✕ | ○ | ○ |
低ノイズになるためかなり音が”立つ”ようになりパワフルになりました。ノイズが減るため音楽がより目立つようになるのです。音の定位がよりはっきりわかります。専用回路でも満足していたのですが、200V+ノイズカットトランスはさらに上のステージに到達できました。
もともとノイズに強い200Vにノイズカットトランスの効果がプラスされてさらに低ノイズになるからです。
ノイズカットトランスは色々種類があります。200Vを使用するならNCT-I1、100VならNCT-I3がおすすめです。100Vでも十分効果が得られます。
NCT-I1は自分好みの電源プラグとコンセントが取り付けられます。NCT-I3は両方ともついているためすぐに使えます。人気があるようで頻繁に在庫切れになります。在庫があればラッキーです。
ノイズカットトランスのレビューや選び方はこちらの記事で詳しく解説しています。
ノイズアナライザーでノイズレベルを検証
EntechのNoise Analyzerを使って、専用回路や200Vの効果を検証しました。使い方はノイズ対策がされていないコンセントで数値を100に合わせます。それから比較したいコンセントに接続するだけです。相対的なノイズ量がわかります。
機器の構成 | 普通のコンセント (100V) | 専用回路 (100V) | 200V+ ノイズカットトランス |
---|---|---|---|
値 | 100 | 20.9 | 8.3 |
専用回路(100V)は80%、200V+ノイズカットトランスが91%のノイズが減少しています。専用回路だけでもかなり効果が出ているのがわかります。
普通のコンセント
専用回路
200V+ノイズカットトランス
まとめ
専用回路、200V、ノイズカットトランスはどれもノイズが減少していることが検証でき、実際に聞いてみても効果が実感できました。どれも数万から導入可能です。何十万もする機材を買う前にまず電源で土台をしっかりさせるのが重要です。いくらよい機材を持っていても電源が悪いと本領発揮できません。
賃貸で工事ができない場合はノイズカットトランスだけでも効果を実感できます。特に集合住宅は他の世帯と電源を共有しているのでノイズカットトランスの効果は大きいです。
電源をレベルアップしたことで一皮むけた音楽を聞くことができオーディオライフが充実します。200V+ノイズカットトランスを導入したので電源に関してはこれ以上やることがなくなったという満足感があります。
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