最初にこのアンプを検討し始めた時、とにかくレビューがありませんでした。
いろいろ検討した結果購入したのですが、とても気に入っており4年間使用しています。
一つのアンプの保有歴では最長となりました。
アンプを購入しても1-2年で買い換えることが多かったのですが、これはずっと使用しています。
このアンプを購入して良かった点、イマイチだった点についてレビューがしていきます。
イシノラボを知ったきっかけ
当時プリアンプはLUXMANのC-800fを使っていました。
特別不満があったわけではないのですが、違ったタイプのプリアンプが試してみたくなりました。そこでプリアンプについて調べまくった時に見つけたメーカーでした。
サンスイで技術者を務めていたいた方がやっておられるメーカーです。サンスイといえばオーディオ界では知らない人はいない有名なメーカーです(残念ながら今はないですが)。
なぜ気になったかというとトランス式のプリアンプというとても珍しい方式のプリを作っていたからです。
トランス式のプリアンプについて調べてみると、音質に影響が出ない理想的なボリューム調整方式との記述が多かったです。
トランス式に興味を持ったので、もう少し調べてみることにしました。
通常のプリアンプは基本的にお値段が高いです。しかし、イシノラボのアンプはどれも有名メーカーに比べるとかなり安いです。
もう少し安いので満足できるならそちらに買い替えるのもありだと思い始めました。
ボリューム調整の方式
電源を持たないプリアンプをパッシブプリアンプといいます。電源がないので、ケーブルが一つ減ります(個人的に重要)。パッシブプリは味付けが少ないとも言われるので、そこも気に入った点でした。
調べてみるとパッシブプリアンプの中でもボリューム調整の方法に種類があるようでした。一般的なものを含め3つ挙げます。
①可変抵抗型(摺動子)
②固定抵抗切り替え型
③トランス式(TVC)
可変抵抗型(摺動子)
昔から使用されている伝統的なボリュームです。アルプスが有名ですね。ギターのボリュームにも使用されています。
抵抗の表面を摺動子が動いてボリュームが変わります。ボリュームは連続的に変更できます。
この方式の難点は経年の酸化やホコリによりガリが出ることです(ボリュームを回した時にガリガリ言うことに由来します)。
そのため今となっては高級機でこの方式を使っているアンプはほとんどありません。
固定抵抗切り替え型
これは名前の通りで異なる抵抗値を持つ抵抗を切り替えることでボリュームを変えます。
ボリュームは連続的ではなく、段階的に変わります。ちょっとだけ下げるというのが難しくちょうどよいボリュームにならない可能性があります。
トランス式(TVC)
トランスを使ってボリューム調整をおこないます。①と②は抵抗を使って減衰させていますが、これはトランスを使って減衰させます。
つまり抵抗による音の色付けがない。音声信号が抵抗を通らないためです。
ここが一番気に入ったポイントです。
しかし、いろいろなメーカーを見渡してもこの方式のプリアンプを使用しているところはほぼありません。
理由はトランスのコストが高い&手間がかかるからです。
トランスの各ボリュームに対応するタップと切り替えスイッチを個別に配線するので、すごい数の線を取り付ける必要があります。
ということで大手メーカーでやっているところはほとんどなく、大昔にLUXMANのAT-3000があったくらいでした。
最近LUXMANからCL-1000という真空管プリアンプが発売されましたが、お値段176万円となかなかのお値段です(パッシブではありません)。
あとはBESPOKEのPassive Pre-amplifierもトランス式のパッシブプリアンプです。こちらはお値段297万円。。。
そんな高級機種に使われるならいいものに違いないということで、トランス式のパッシブプリを選択しました。
イシノラボのプリアンプ紹介

私が購入したのはCA-999シリーズのトランス式パッシブプリアンプです。
左のノブ :セレクター
真ん中のノブ :ゲイン調整 0,+3,+6
右のノブ :ボリューム調整 -∞~+ db クリックタイプのノブ
スイッチはすべてセイデンのロータリスイッチです。標準ではボリューム調整ノブだけですが、他の2つもセイデンにしてもらいました。
セイデンのロータリスイッチは医療機器にも使われるぐらい高品質、高寿命なスイッチです。検索していただくとその信頼性がおわかりいただけます。
トランスは3種類から選択できます。高い方から順に
・ファインメット
・スーパーパーマロイ
・オリエント
となります。
CA-999は本来スーパーパーマロイなのですが、ファインメットに変更してもらいました。こういった特注も可能です。
ファインメットはオーディオ界では有名なトランスで、高性能なトランスです。以前から漠然と憧れがあったので、高かったですがこれに決めました。
アンプも足もKRYNAのT-PROPに変えてもらいました。
スパイクと受けが一体型でセッティングがしやすいです。
音質的にも気に入っており、他のアンプにも使っています。
次は背面の写真です。

INPUT
RCA:1、XLR:2
OUTPUT
RCA:1、XLR:1
このあたりの数もカスタマイズ可能です。
良かった点&イマイチだった点
良かった点
①音質
ここが一番気になる点だと思います。音量を下げても音質変化&音痩せが気になりません。
私はBGM的な使い方をすることが多く、そのときは最小音量にしますが、それでも気持ちよく聞けます。
またローノイズで背景が静かです。音量を上げてもうるさくないのです。
昔とあるガレージメーカーのパッシブプリアンプ(摺動子タイプ)を使った時に以下の2点が気になりました。
・音量を下げた時の音痩せ感(特に低音)
・音量の小さい時と音量の大きな時の音域バランス(特に低音)が変わる
オーディオは大きな音量を出さないとアンプが本気を出さないと言う声もありますが、それはアンプの性能のせいかもしれません。
大きな音量を出せない環境の方には適していると思います。
②電源ケーブルがない
ラック裏はケーブルがごちゃつくので、1本でも少なくしたい派なのです。
③カスタマイズに対応してもらえる
入出力の数、トランス、足などいろいろなところをカスタマイズしてもらえます。しかもかなりリーズナブルなお値段です。
イマイチだった点
①納期がかかる
商品を在庫しておらず、受注生産のため時間がかかります。発注してから1ヶ月程度かかります。
②サポート期間
ガレージメーカーなので、AccuphaseやLuxmanのように半永久でサポートがあるわけではありません。
といってもトランス式のパッシブプリアンプはHPの製品ページにも記載があるように、壊れる要素がほとんどありません。←ガレージメーカーですが、買う時に決め手になった点でもあります。
強いて言うならばボリュームのノブですが、こちらはセイデンのロータリスイッチですので、長年使い続けても問題ないと思います。
まとめ→パッシブプリアンプの最高峰
イシノラボのトランス式パッシブプリアンプはこんな人におすすめです。
・パッシブプリアンプ派の人
・トランス式のパッシブプリアンプを使ってみたい
・いろいろカスタマイズしたい
真空管アンプ、パワーアンプ、プリアンプ等も販売されています。
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